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2. 「翌日が楽しみになる種まき」工夫を重ねて自力で乗り越える
お針子チームのリーダーとの運命的な出会い
――どういう体制でブランドを運営されているんですか?
「母が縫製リーダーでお針子さんが沢山いらっしゃいます。」
――1つの作品をひとりのお針子の方がつくられるんですか?
「いえ、パーツごとに分けてお願いしています。例えば、布を裁断して接着芯まで貼るとか、ここまで縫ってもらうとか、そうやってできたパーツを全国から集めて、それらがCoco&Amiに届くというイメージです。」
――パーツごとに専門家がいるイメージなんですね。縫製リーダーのお母様はどういったことをされているんですか?
「母はアトリエのドンの役目ですね。(笑)『母しかできない仕事』というのはかなり多くあるんです。かく言う私も、デザインやサンプルの制作、パターンや仕様を考えるところまで一人でやっています。実際の制作にかかわる部分も携わったりしているので、なかなか大変で。これから育成というのも力を入れていきたいと思います。」
(ご試着ド~ゾ~ 帽子に沿うよう微妙にカーブをつけていく)
――そもそも、お母様にお針子をお願いしたきっかけは何だったんですか?
「いわゆる戦後の女性が裁縫をするのが当たり前の時代に母も生まれていることもあるんですが、裁縫上手だというのも知ってたんですよ。昔、母に『見て、見て』って言われたバッグがあったんですが、悪い意味でハイセンスで。(笑)」
――(笑)
「本当にすっごいセンスで!『どうしたの?これ』って聞いたら『作ったの』って微笑んでました。でもよく見たら裁縫がすごく上手いんですよね。それでこれは仕事になると思った。私も作家活動をやっていたので、もしかして、母に縫ってもらったら作品のクオリティが上がるんじゃないかなと思って、それで仕事をお願いしていったんです。」
(見る見るうちに裁縫リーダーの手によって帽子が作られていく)
――お母様の隠れた才能を見つけましたね!
「でしょ!私は、作家活動での収入が家賃と同じくらいになったらアトリエを辞めようって決めてたんですね。割と石橋叩く方なので、生活できない段階で独立しようとは思っていなくて。作家収入が家賃を超えはじめたその頃、ちょうど母の勤め先のパート先が潰れたんです。」
――あら、タイミングがあったんですね。
「そうなんですよ。それで母に本格的にお願いしているうちに作家活動が軌道に乗ってきて今の体制になりました。」
(1ミリの違いで、張りのバランスが変わるんです)
アイデアを育てる方法は「正解をみない」
――作品のアイデアは書き溜めたりしてるんですか?
「書き溜めたもの、あるといえばあります。いつも決まったノートがその場にないこともあるので、身近な紙をちぎったり、レシートとかを使ったりします。アイデアを書き溜めたものは、とにかく雑多に1つの引き出しに入れてます。」
――たまったアイデアを見返したりするんですか?
「そうですね。たまに見返すこともありますが、なるべくあまり振り返らないようにしています。新しいアイデアや感覚を大切にしたいので。書き溜めているラフ案もありますが、相当おおまかであることにこだわっています。後は箇条書きですね。描く時点でしっかり書いてしまうと、そこでアイデアが消えてしまう気がして。」
――しっかり描くと、アイデアが消えてしまう…?
「そうです。私の場合、こうやってお話しててもパっとデザインが浮かぶ時があるんですね。そしたら、そのアイデアを種として頭の中に植えます。目を閉じた時に頭の中のキャンパスに描く感覚ですかね。そこから頭の中でいろんな素材を足したり、色を塗ったりして、頭の中で育てていくんですよ。」
(デザインのラフ。イメージを鮮明にしないよう、薄く薄く書いている)
――頭の中で具体的なところまでですか?
「はい。デザインが写真ぐらい鮮明になるまで育てることをして、自分がコピー機になったみたいにまで描ける時に、はじめてしっかり描いていいんです。」
――そうじゃない時点で描いちゃったら?
「目で直接見てしまうとそれが頭のイメージを上書きしちゃうんですよ。目で見た印象を覚えちゃってそれ以上新しくならない。頭で枝葉が広がりそうだったのに、肉眼で見たものが出てきてしまうっていうことがあるので、下手に描かないようにしています。
逆に、ラフで描くなら何かが浮かんだぐらいで書きます。例えば『蝶々が羽を広げる』とかってメモに書いて、ちぎって、引き出しにいれるんです。」
――どんどん育てて鮮明になった時にデザイン画になるんでしょうか。
「そうです。そしたら、こんな感じでデザイン画を描きます。」
――デザイン画は何で描くんですか?
「鉛筆で描いたりとか、でも最近はずっとパソコンで入れちゃいますかね。原案まではペンで描いたのを読み取って、ソフトに落として描いたり塗ったりします。後でパソコン上で色を変えたりもしたいので今は極力パソコンを使うかな。」
――帽子のネーミングも帽子のデザインを頭の中で育てた時に出てくるんですか?
「ネーミングに関しては真剣に打ち合わせをします!信頼できる友人や身内にお題を出して、ちょっと次までによろしくって言って、みんなで書き出します。
人との掛け合いで育つことがすごく多いので。今もそうですけど、お話一つの掛け合いで花がどんどん開くイメージです。人の数だけ良いアイデアが出てきます。なので、そこを楽しみながらやってる感じですね!」
――他のブランドさんの作品やファッション誌などは見ないですか?
「情報収集のために買ってはみます。でも、商品や作品のデザインを見るというよりは、お客様の傾向を見るための材料として使っています。デザインをするための参考としては一切見ないです。人と発想がかぶったりするとなんだか作品として出せなくなってしまうので、自分の発想で生み出すようにしています。」
――そうなんですね。ファッションとは異なる分野で参考にしているものはありますか?例えば図鑑はどうでしょう。
「デザインの参考としては無いですね。頭の中を一番自由な状態にしたいので、「正解」は見ないようにしています。例えば、鳥がスズメの色じゃなければいけない理由は無いですよね。」
(植月さんと小鳥さん。か、かわいい!!)
――無いですね、逆に色とりどりの方が楽しいと思います。
「そうなんです!自由であるのがデザインとかファッションだと思っています。まずは自分が思う鳥を自分が好きに描いて作ってみるんです。そしてその後に軌道修正をする形で本を開きます。」
「すぐに人に聞く癖を付けないようにするのと一緒で、自分なりの回答を用意してから、「聞く、開く、見る」っていう答え合わせをして、融合したり、調整したり、っていうやり方にしています。」
――答えのない世界ですもんね。そういった世界で、最終的には一つの答えを追い求めるというのはどういう感じなんでしょうか。
「デザインっていうどれが正しいかも本当は決めなくて良い世界で、あれが良い、これが良いって言い合うことって、すっごく苦しいことなんです。なので、それにめげたらこの世界ではやっていけないかなっていう気がします。」
――今までにそれに近い経験もありましたか?
「もちろんです。どれを良しとするかはそれぞれでいいと思うんですけど、人の評価を自分の責任で受けていくので、そういうプレッシャーに勝っていくために心を鍛えていかないと、と思います。」
――心身ともに強くないといけないですね。モノ作りは楽しいですか?
「私は苦しい方なんです。作家さんの中には辛いこともあるけれど楽しいですと仰る方もいると思いますが、私は見られることが怖いし、なかなか楽しいとは言えません。齢を重ねた後に楽しかったと言わせてください。(笑)」
(次回に続く…)
目次
2. 「翌日が楽しみになる種まき」工夫を重ねて自力で乗り越える
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ブログ:http://homepage3.nifty.com/coco-ami/
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— Coco&Ami@受注会ラッシュ中! (@cocoxami) 2016年4月30日