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・「100年後も愛される作品を作るために」ニット作品に込めた想い 1.シュシュさと|松岡里美さん
ニット作家の誕生は小学生まで遡る…
―― 松岡さんの編み物との出会いはいつ頃なのでしょうか?
「記憶がある頃にはもう毛糸持っていました。小学校のころから色んなものを作っていました。」
(ハンドメイドショップ「こねこのワルツ」の店先)
―― どっひゃー。そんなに小さい頃からですか。
「母親が着付けをしていて、編み物も出来たのでその影響もあったと思います。あと、セーターとか手袋とかマフラーとかも普通に。その頃から自分がやっぱり「こういう洋服着たいな」っていうのを作るようになって。」
―― 小学生の頃ですか?それほど「これが着たい!」って考えたことなかったですね…
「私は常にありましたね。それは、自分の好きな物を着させてもらえなかったからだと思います。着れないものは絵に描いて、こういうのが着れたらいいなって。昔よく切り取った絵で着せ替えとか付録でありましたよね?それを自分で作ってました(笑)」
―― オリジナル着せ替え付録!(笑)
「残った画用紙とかそういうので作って、それでひたすら遊んでいる子だったんです。自分が着たいお洋服をデザインして描いてって。」
―― すでにデザイナーさんだったんですね。
「ふふ、そうですかね(笑)。母親がカワイイ女の子らしいのじゃなくて、シンプルで変わった感じのデザインの服を着せたがる人で。上がカラフルだったら、下はシックでとか。白なんて汚れるからって全然着せてくれなくて。」
―― (笑)
「ごめんね、現実的なきっかけで(笑)。子供に白なんてとんでもないって言って。全然買ってもらえなかったんです。でもね、お友達の中には居たんですよ、白を買ってもらっている人が。「いいなぁ~っ」って、いっつも見てて、「私も白着るんだったらこういうのを」って思っていました。」
―― 一番初めに「着たいな」と思って作られたものって何でした?
「小学校の高学年か、中学校ぐらいにつくったセーターとスカートですね。確かクリスマスだったので、上が無地で、下はミニスカートをアーガイルにしました。赤とグリーンと確か黄色で。その上下を作ったのが最初だったと思います。」
―― 上下セット!ハイレベルです…。お友達で同じように物づくりされる方がいらっしゃいました?
「誰もいないです。」
―― お友達や周りの方から、変わっているって言われませんでした?
「はい、いまだに言われます(笑)。「昔から変わっていたもんね」って。バブル全盛期でみんながブランド物を買い漁っている時に、私は毛糸を買い漁っていました。」
―― (笑) ブランド品などの流行には興味がなかったんですか?
「興味はありました。興味はあるけど、自分が身に付けたいとかそういうのではなくて、面白いなぁっていう。」
―― 情報の一つという感じだったんですね。
ルールよりも自分の思うようにやりたい!
―― ちなみに、お母様の影響で、着物の方にはいかなかったんですか?
「着付けもやります。免許持っているんですけど。」
―― 着付けも!多才ですね。
「いや、もうそれだけです。父親がやっていたお花とお茶は見放されました。」
―― そうなんですね。一応、一通りはやってから?
「うちの父親に、お花の修行に行けって言われたんですけど…。色々ルールが決まっていて。「なぜこういう事するの?」って思っちゃって。私は勝手に自分の思うようにやりたいので、どうもなじめなくて。匙を投げちゃいました。」
―― 形式化されるのが苦手だったという事でしょうか?
「そうですね。今は良いことだと思いますけど。当時はフラワーアレンジとかなら喜んだと思います。」
―― 自由度が高い方を選んじゃうんですかね。
「子供のころから「こうしなさい」「ああしなさい」って言われてきたので、その反発があったんでしょうね。母親が作るものとは違うものを作りたかったり。」
―― 特に好きだったもの、作りたかったもの、というのはありますか?
「母親の反発もあり、可愛いものや特にレースが好きでした。周りにはレースってあんまりなかったんですよ。周りにあったのは着物やお茶、お花だったので。」
(オーダーバッグの作品)
―― ビスクニャールちゃんのレースもそこが原点ですね。
「そうです。うちの母親は昔の人だから洋服はなんでも作ったんですけど、レースではなかったんですよ。だけど、叔母がレース編みのプロっていうか、金賞とったりとかしている人だったので…」
―― 金賞…!
「はい。その叔母の作品を小学校低学年で見た時に「レースってなんてキレイなの?」って思って。その時からずっと好きです。」
―― 今日のお洋服もレースがついていますね。
「これは買ってきたレースですが、既製品の服にこういうレースを付けるだけで全然違いますよね。」
―― ですね。かわいさが増します!
次回に続く…
もくじ
1.「100年後も愛される作品を作るために」ニット作品に込めた想い