[KawaCuraスタッフ人物紹介]
ヤブノウサギ(略してノウサギ)
インタビューワー
ぶきっちょ。モノ作り作家さんをリスペクトする。
kuma
黒服カメラマン
モノ作りが趣味。黒ウサギをノウサギにプレゼント。
hanao
後姿乙女系男性インタビューワー
駅でおばさまに、女性と間違って声を掛けられる。
シュシュ さと 松岡里美さん プロフィール
1988年文部科学省(文部省当時)認可 日本編み物文化協会 講師取得。三重県中心に編み物教室を開催。その教室の独特なスタイルから、地元テレビ局の取材を受ける。2012年ネットショップでの販売スタート。雑誌でも取り上げられ、全国に知られるようになる。2014年鎌倉のショップ「こねこのワルツ」での販売スタート。2015年「マリーアントワネットの娘達」というロリータブランドにて、デザイナー&アーティストの袴着さんとのコラボ実現。
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瞳がキラキラっ 目が印象的なビスクニャールちゃん!
―― 今日は「シュシュ さと」にとって初の個展となる、「南フランス~動物たちの雑貨屋さん」にお邪魔しました。素敵な作品が並んでいますね!その中でも「ビスクニャール」は、とても印象的でした。
(※個展は終了しています。)
(松岡里美さん) 「お越しくださってありがとうございます♪ フランスのビスクドールのように、カワイイお洋服を着て、キレイなヘアのドールを作りたかったんです。この「ビスクニャール」は、桜色のウィッグを使い、手足にはワイヤーを入れました。」
(個展「南フランス~動物たちの雑貨屋さん」 ビスクニャールちゃんと着せ替えドール)
―― 目がキラキラしている所も可愛いです。松岡さんの作られるドールは、目が特徴的ですね。
(猫のがま口)
「そうですね。「目に特徴があるよね」ってよく言われます。多分、この子(愛犬のアリスちゃん)かな。アリスの目に印象があるので、作品に影響したんだと思います。」
―― そうなんですね。
(松岡さんとアリスちゃん)
「最初の頃は、市販で売られている目を付けていたんですが、アリスを見ていると、だんだん違うぞ、と思ってきました。生きている子の目って、違うなと思って。それで、今の作品の目になってきました。」
(アリスちゃんをイメージした作品)
大切に育てられた素材を使いたい!選び抜いた素材の秘密
―― ビスクニャールのお着物もきれいですね。ピアスもかわいい!
「帯留めについているブローチとピアスには「美濃和紙(みのわし)」を使っているんです!NPOのピアラスさんとコラボして作りました。」
美濃和紙:岐阜県で製造される和紙。国の重要無形文化財に指定されている。
特定非営利活動法人 PIARAS:手漉き和紙を普及する会 http://www.piaras.org/
―― 和紙を取り入れてらっしゃるんですね。日本製のものは意識して使われているんですか?
「はい、やっぱり日本製のものは質がいいです。ビスクニャールには、お花のレースも付いているんですが、これは草木染なんです。日本独特の色合いというか。フランスにはないんですよ。あぁいう色って。」
―― レースと言えばフランスのイメージが強いですよね。
「フランスのレースがとても好きなんですが、日本のレースもすごくキレイって思って。実際に日本製のレースを使ったのは今回が初めてです。」
(ビスクニャールには、美濃和紙と草木染のレースが使われている)
―― 毛糸も日本製のものを選ばれているんですか?
「はい、毛糸もほとんどが日本製です♪ 京都、一宮、山形、新潟の毛糸を多く使っていますよ!どの工場さんも、ヨーロッパやオーストラリアなどの牧場が明らかになっている羊毛を仕入れて、その毛を紡いで糸を作られています。京都の工場では、イタリアで紡いで染色までされているイタリア製のものもあります。そうすることで、イタリア独特なオシャレな色合いがでるようですよ!」
―― そうなんですね!毛糸も奥深いです。
「ちなみに、日本で育てられている羊毛もあるんです。量は少ないですが、北海道などちゃんと育ててもらっている動物は、食べ物も違っていて、毛の質がとても良いです。」
―― 食べ物の違いで毛質が変わるんですか!
「はい。毛質が違えば、作られた糸も全然違うんです。もう風合いから違いが分かります。例えば、山形県の佐藤繊維さんの糸は、1本の糸がものすごく細い細いモヘヤなんですけど、すっごく丈夫なんです。」
―― とっても触り心地がいいです。
「この糸を作るのは、そこの人しか作れないんです。オバマ大統領夫人がこの糸を使ったモヘヤのニットを買われてから、世界中で有名になって、今ではハイブランドが使うようになっていますよ。」
―― 貴重な糸なんですね。
「あとは、岐阜一宮のガラ紡という機械、これも世界に1台しか残ってないんですが、それで紡いだ糸っていうのが凸凹の風合いがすごく良くて、丈夫っていうのが特徴なんです。」
―― 機械によっても、毛糸の質が変わってくるんですね。
「そうなんですよ。それだけ手が掛かっているし、それだけ材料も良いから、安くはないですよね。でも、日本製のものは、やっぱり凄くて、やっぱり良いんです。皆さん、誇りを持って作られていらっしゃいます。大切にしたいですよね。もちろん、海外製の良いものも使ってますけど(笑)」
―― 毛糸はどうやって選んでらっしゃるんでしょう?
「やっぱり質がいいもの、大切に育てられた毛糸を使います。教室をやっている頃から、「牧場が明らかになっている毛糸を取り寄せて使う」というこだわりがあるんです。値段を下げるために、糸の質を落としませんか?と言われることもあるんですが、そういうことを絶対やりませんでした。」
(着せ替えドール ピアスもあるんです)
―― 安い毛糸は質が悪いから?
「はい、質が良くないです。それに、動物の作品を作っているので、正しく作るためには、ちゃんとしたものを使いたいと思うんです。正しく刈られた毛を使って作品を作り、新しく命を吹き込む、という事を大切にしています。」
―― 作品を作る上で、他に大切にされていることはありますか?
「やっぱり、長く使っていただきたい。だから、実用性も考えています。バッグは、持ち手や体に触れるところは、丈夫な素材を使ってなるべく壊れにくくしています。体に触れない部分では、装飾などで華やかにしていますよ。」
(カラフルなマカロンが飾り付けられたバッグ)
―― 実用性と装飾性の両方を意識されているんですね。
「そうなんです。生き物ではないですが、一回引き取ってもらったら、その方の子供や孫に引き継いでもらえるよう、「100年使い続けられる」ような作品にしたいんです。だから、丈夫な素材でしっかりと作ります。」
(作品の飾り付け)
―― 「長く使ってもらいたい」というのは、松岡さんの作品に共通している想いですね。
次回に続く…
もくじ
1.「100年後も愛される作品を作るために」ニット作品に込めた想い